今月の読書の授業は「宮沢賢治」の本を題材にしています。
ルクステラの読書の授業では、まずはストーリーの世界観を頭の中でイメージし思い描いて、その世界へダイブするよう子ども達に働きかけます。
その世界の中で登場人物達の気持ちになってみることで、物語の起承転結やキャラクターの気持ちの推移を捉え、何らかの感情や気持ちを感じてもらうことが第一目標です。
宮沢賢治の作品の登場人物は、とても魅力的で不思議なキャラクターが多いですよね。
またストーリーは、ファンタジーの要素がある独特の世界観のお話が多いので、読み聞かせをする場合も、日常とは少し違うその不思議な世界に子ども達が入り込む様子が見て取れます。
ただここまでは「インプット」になりますので、きちんと言葉にできなくてもOK🙆♀️
ぼんやりとでも世界観や感じた気持ちの余韻を残せるかどうかを大切にしています。
次のプロセスは、子ども達が持つみずみずしい感情を引き出すことです。
感想が上手く出せるような質問や声掛けをすると、子ども達はまず口でブワァーっと話してきます。
でも、それを言葉や文章で書こうとすると、途端に何も書けなくなってしまう子も多く、
「今話してくれた事をそのまま書けばいいんじゃん」と言うと、「今私なんて言ってた?笑」「僕が今言ったこと、先生もう1回言って!😆」という会話のラリーを、私も今まで何度も経験しました。
ここはいくつかのプロセスを踏ませて、ストーリーや気持ちをひとつひとつ噛み砕き、建設的に言葉や文章が組み立てられるように導いていく作業も必要となります。
ただ、「上手く書こうとしないでいいんだよ」という事はいつも言っています。
上手く書こうとすると、どうしても自分の中のハードルが高くなり、むしろ書く事がイヤになったり苦手になり兼ねません。
そして上手く書こうとする弊害のもう一つは、感じたみずみずしい気持ちが表現できないところにあるように思います。
上手いんだけど面白くはない、、、というのは、大人の世界にもよくありがちな感想ですよね。
安心して何でも感じた事を表現すればいいんだ、という経験を積み重ねていく事で、その子の本来持つみずみずしい感情が出てくるように思いますし、何よりその経験を何回も積み重ねることで言葉の語彙が増えたり、文章力が伸びて、感情を表現する手法が身についてくるのだと思います。
文章表現に限らず、「アウトプット」は積み重ねや鍛錬による部分が大きいようです。
最後に、その本のテーマ、作者が本当に伝えたかったことを感じ取れれば、もう何も言う事はありません。
私個人で言うと、小さい頃から好きな本かどうかの基準は、何よりストーリーが面白いかどうかでした。
でも面白いかどうかって、どうやって決まるんでしょうね?
物語に出てくるキャラクターや作者に共感できるかどうか、日常とは違う世界に連れて行ってくれドキドキワクワクできるか、知らなかった知識や経験が得られるか、新しい発見やひらめきがあるかどうか。
その時の成長段階に合わせた面白さを、よりたくさんの子ども達が本の中に見出して、感じた気持ちを表現できる、そのガイドやお手伝いを、私も少しでも担えることができれば嬉しいです。
実は宮沢賢治の物語を読んでいると、生徒の成長に日々寄り添う先生という職業だったからでしょうか、そのガイドが不思議とストーリーの中に仕組まれているような気がしてなりません。
だからこそ、宮沢賢治の本は子ども達のみずみずしい表現が引き出せるのかもしれませんね。
間違いなくこの先も読み継がれていってほしい、日本が誇る偉大な作家さんです!
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