今年もあっという間に数か月が過ぎ、早くも季節は春。
新年度新学期がスタートし、子ども達も保護者の皆さんも教育現場の先生方も、みんな慌ただしく落ち着かない日々をお過ごしかと思います。
さて、そんな新しさに包まれる春は、学年がひとつ上がることもあり、子ども達にとっては体も心もグンと成長する季節でもありますが、そんな周りの成長のスピードにどうしても付いていけない子や、体の成長と心の成長のギャップに苦しむ子も出てきます。
周りに流されずマイペースで成長するのも全然アリですし、本人がそんなに気にしていなければ、その子の自然な成長に合わせて寄り添うのも良いことだと思います。
でも本人が周りのみんなに自分もついて行きたいと思っている場合、また自分の遅れを気にしてしまう場合、新しい友達とのトラブルを起こしがちな場合などは、コミュニケーション面のストレス軽減のためちょっとしたサポートはやはり必要かなと思います。
ルクステラにも現在、発達が少し遅れ気味の子や、人前で言葉が出ない緘黙症の子がいます。この子達に共通しているのは、自分の気持ちや意見の表現が苦手なこと。そしてそこに繋がっているのが、人の気持ちへの共感が苦手なこと。
そんな子達に例えば道徳の授業などで「思いやりを持とう!」と言ってみたところで、内心は「『思いやり』って何?」という心境なのだと思います。
決して他者への思いやりが無いわけではなく、自分より小さな子どもや生き物に優しくしたり、実際『思いやり』できている場面を目にもします。
つまり、抱いている気持ちとそれを表す言葉の同定ができていないのが原因ではないかなと思います。
個人的見解ですが、そのためには自分の経験とそれを表す言葉を、行動を起こしたときにタイミングよく紐づけしてあげると、どうもすんなり入っていくケースが多いような気がします。
例えば、友達とトラブルを起こしがちな子に「その子の気持ちになってみて。同じことやられたらイヤだと思わない?」と聞くと、きっと「その子じゃないから分からない」という回答が返ってきます😅
ただ、何かその子が思いやりのある行動をした時に、「それ!それが『思いやり』っていう気持ちだよ」と教えてあげると理解して、別の場面でも再び使える言葉になります。
イメージ的には、気持ちをラベリングしていく、という感じでしょうか。
その意味では、なるべくたくさんの経験ができ、たくさんの言葉に触れられる環境に子ども達を置くことが重要なように思います。
経験を重ねることとボキャブラリーを増やすこと、チャレンジと学習の両方が揃って初めて自分の中に『気持ち』がストンと落ちる。そして、他者への共感に繋がる、という順番だとうまくコミュニケーションや成長のサポートができるように思います。
話は少し変わりますが、私個人も「文化は『言葉』で作られる」というフレーズについて、年々改めて実感を持って理解してきています。
言葉は声にしたり文字にしたりして発せられるものです。他者に時間や場所を超えてコミュニケーションを取れたり、影響を与えたりもできます。
そして頭の中で思考したり、考えを整理整頓したり、イメージを膨らませる際にも欠かせないツールです。
もちろんコミュニケーションの方法は言葉だけではなく、それ以外も大事だったりしますが、やはり頭や心、体の中にあるモヤモヤを外に引っ張り出し、他者と理解し合うことを助けてくれるのは『言葉』が最も大事だと思います。
ルクステラでも理念としている、「自分で考え、自分の言葉で表現し、自分の力で解決する」力に必須なのが『言葉』です。
言葉を苦手としている子ども達に、日頃から読書や日記の授業をしつこく行なっておりますが😆、いつか必ず今の頑張りが未来の彼らの生き抜く武器になると信じています。
かく言う私も実は、恥ずかしながらいつまでも上達しない英語をずっと勉強し続けてますが、『言葉』の習得という観点から見ると、その難しさを自分で実感し続けることが子ども達の言葉の習得の大変さをいつまでも想像できる、というメリットもあるのかな~などと都合よく思っています(笑)
言語が違うとその言葉から作られる文化も当然違ってますし、「あー 英語ではこの気持ち、こういう表現するんだな。日本語と違うんだな~」などと感じて、セミリンガルの症状を持つ子の気持ちに共感したりもします。
そんなきちんと言語化できる力を未だに身に付けてない大人ではありますが、私も子ども達と同じ目線で、一緒に引き続き前向きに取り組んでいきます!
